おちょこ事件①
彼はなかなかの変わり者である。
それを最も痛感したのは忘れもしないあの時、、
確か9月の24日、秋分の日だった。
彼は毎週日曜日と祝日、あと毎月一日だけ土曜日が休みだったかな?(興味ある人の予定とか全部覚えちゃうから、引かれそうな人の前では覚えててもあえて忘れたふりをすることもあるわたし。笑)
わたしは早朝からの仕事で、残業がない日は14時過ぎに上がれたりする。
この日はちょうどそのパターンで、一緒にららぽーとに出掛けた。
8月にららぽに映画を見に行った時、琉球ガラスのお猪口がすっごくきれいで印象に残っていて、その日はそれを目当てにやってきたのだ。
わたしはお酒を飲む頻度が少ない割りには強い方。家では飲まないけど、たまに飲みに行ったら冷酒も飲む。
彼と4年ぶりに再開した7月もそうだった。久々の日本酒が美味しくて、気持ちよく酔いを楽しんだ。
夏の琉球ガラス展、的な売り場でそのお猪口を見つけたときはその事を思い出して
「あぁ、、これで一緒にお酒が飲めたら楽しいだろうなぁ、、」と思った。
けれどその時、彼が彼女と同棲していることは知らなかったもものの、お互い別の相手がいる状況でそんなことは言えなかった。
しかし、それから約一ヶ月後、何かの拍子にLINEでこの事が話題になった。
素直すぎるわたしは案の定このときのことを話したところ、、彼も同じことを思っていてくれたのだ!
嬉しくて舞い上がり、早速次に会う日に買いに行くことにした。
次に会う日、、それはもうひとつ大事な約束があった。
彼が彼女と同棲していることを知り、ショックを受けた後、わたしは本当の望みを見つけた。
彼と一緒にいたい!わたしは彼と生きていきたいんだ!
そう強く自覚した日から9日後、付き合っていた人から別れたいと連絡が入った。9月の6日だった。
本当に不思議なことに、何の前触れもなく。
自分から別れようとは言えないし、、どうしようかな、、全然嫌いになったわけじゃないんだけれど、、。
なーんて気の迷いはまさかの一瞬で解決された。
なんかよくわからないけれど、ビシッと自分の意思が決まると動くものは動くんだな、とこのとき強く実感した。
一年と少しの間付き合った人から別れの意思を告げられた時はそれなりの衝撃はあったものの、彼が彼女と同棲していることを告白されたときのショックに比べたら全然大したことはなかった。
一緒に過ごした思い出を振り替えれば離れる悲しさはあるものの、自分がどうしていきたいか?はもうはっきりと腹に据えていたのでどうしようもない。
ただ、感情を味わうだけで考えることは今さら何もなかった。
それから数週間後、迷いから解放され全力投球できるようになったわたしは彼にこう言った。
「(彼女と別れてわたしと付き合ってくれるのを)待っていてもいい?」
そう、わたしはせっかちなのだ。
そして彼はこのときLINEでこう言った。
「その答えは次に会うときでもいいかな?」
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まり「あれってどこに売ってたっけ??確かららぽだよね?」
彼「○○○じゃない??」
まり「○○○はこの間行ったところでしょ!(こいつ何も覚えてねーな(-""-;))」
というやりとりがあり、9月の24日はららぽに行くことに。
彼は心の面ではわたしと全く逆タイプで、全く引きずらないし、深読みもしないので嫌みを言っても全然響かない。っていうか気づかない。。
いつもそのまんまであり、穏やか。そんな姿が羨ましくもあり、尊敬もする。
がしかし、人が言ったことを忘れる天才でもある。
この前話したでしょ!!みたいなことも何回でも新鮮なリアクションをしてくれる。もはやこう言ってしまえばこれも彼の長所かもしれない。笑
このときもどこで見かけたか、全然覚えてなくてすごく可笑しかったのを覚えている。
その日、ららぽを隅々まで探したのに残念ながら涼しげな琉球ガラス展は見つからなかった。夏の催し物として設置されたコーナーだったらしく、わたしたちが行った日にはもうなくなっていたのだ。
「まりが買うなら俺も買うよ!」
そう言ってくれたから、せっかくお揃いのお猪口がゲットできると思ってたのになぁ、、。
まぁまた今度だね!
そう言ってわたしたちは例の大事な話をしに地元の公園にやってきた。
この先彼女と別れるつもりがあるのか、ないのか、、。
彼女と一緒に住んでるのにわたしとお揃いのお猪口買いに行くんだから、、
「もう十分(俺から)好かれてるよ!」
なんてことも言ってたし、普通は、、
こういう答えを出してくれるよね??
彼女と別れてまりと付き合うよ!って。
いや、、でも、、
こいつ変わってるからなぁ、、
まさかのこともあるかもしれない。
あんまり考えたくないけど、普通は、、が通用しないかもしれないし、1、2割りはまさかの展開も考えといた方がいいかもしれない。。
わたしはこの話をすることになってからずっとこう考えていた。
そして、そのまさか過ぎる展開になる。
彼はその、わたしがこうなって欲しくないと思っていた1、2割りの方を言ってきた。
それも、わたしがいっちばんイラッとくる感じで!!
つづく。